介護業界では、単純に資格を取得するだけではなく、思いやりを持った介護ができるようになることでもスキルアップが可能です。例えば、認知症高齢者を介護する時に、その思いやりを持った介護ができるかどうかは介護職の腕の見せどころです。認知症高齢者でバーバルコミュニケーションが取れないケースでは、ノンバーバルコミュニケーションが必要になってきます。後者のコミュニケーション方法は、言葉や文字に頼らず顔の表情やジェスチャー等でとっていきます。ちょうどお母さんが赤ちゃんとコミュニケーションを取るのに似ています。

言葉による意思疎通を伴わないノンバーバルコミュニケーションでも、身振り手振りで相手に自分がして欲しいことを伝えたり、相手との信頼関係を築いていくことが可能です。その際、思いやりが全く無いとコミュニケーションを図る段階で相手にそれが伝わってしまい、うまくコミュニケーションが取れないことも多くなります。それに対し、思いやりを持った介護で認知症高齢者と信頼関係を築くことができれば、高齢者が不穏になることが減ったり、食事介助や入浴介助など日々の介助や介護もしやすくなってきます。

更に、思いやりを持つことは介護をするシーンだけではなく、職場でも大事になります。介護の仕事は一人で行うわけではなく、同じ介護職や看護師などの専門家と力を合わせて行います。思いやりがある人は、一緒に働く人との信頼関係も厚くなり、周囲の力を借りやすくもなります。相手のことを考え思いやりを持つことで、介護の仕事全体がスムーズにこなせるようになるのです。